すてぃーぶ まっくぃーん(Steve McQueen)

私の中の「ヒーロー」。男の美学の結晶とも思える人物である。
いろいろな映画関連サイトに載っている、彼の略歴をまずは紹介しよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
飛行機の曲乗り師だった父は生後6カ月で蒸発。母方の伯父のもと、ミズーリの牧場で育つ。9歳、12歳の時に母が二度再婚し、ロサンジェルスに移るが不良グループと交際。14歳でカリフォルニアの少年院に収容され1年半を送る。出所後、職を転々としていた時に女友達の勧めで演技を学び、舞台を経て1956年「傷だらけの栄光」で映画デビュー。以後、CBSテレビの「拳銃無宿」で人気スターとなり、アクション・スターとして映画界の頂点に立つ。肺ガンにより1980年に死亡。彼の遺灰は太平洋にまかれた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もうこれだけで、彼の半分は理解出来るのではないかとさえ思える。波乱に満ちていると同時に、実に「成り行き任せ」的な匂いのする生き方である。もちろん「成り行き任せ」という言葉を、私は肯定的に使っている。一つの目標を定めて、それに向って努力を積み重ねる生き方は大変そうに見えるが、実はそうでもない。得体の知れない「世の中」という海を、成り行き任せに生きる事の方がはるかに難しく、体力を必要とする。成り行きに任せるという事は、より多くを引き受けるという事に他ならない。
彼の魅力も、この生き方に根差したものであるように思う。どんな役柄を演じていても、彼から伝わってくるのはいつも次の無言の台詞である。

「ち、また妙な具合になってきやがった」
「ああ、そうさ、オレはここにいるよ」
「好きにやらせてもらうさ」
「ダメな時はダメ、上手く行く時は上手く行くのさ」

潔い生き方である。肺ガンになった時に行った記者会見では、彼はこの台詞を声に出して爽やかに言い放った。

じゃくにくきょうしょく(弱肉強食)

世の中の基本的な原則の中で、最も真理に近いもの。
第88回全国高校野球選手権大会はドラマチックなエンディングであった。何年経っても「ああ、あの試合」と、人々の記憶に残ることだろう。その素晴らしさやハンカチのエピソードはここでは書かない。紹介するのは今大会の東北地方予選での出来事である。ニュースの記事を引用する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
問題の行為は7回表、雨が降り続く中であった。高校野球では、7回が終了すれば雨天でコールドが成立し、そこまでの得点の多いチームが勝者になる場面だった。12—1でリードしていた●●高校の▲▲監督が、1死二塁の攻撃で、打者を呼んで空振りを指示した。打者は三振し、走者も無気力走塁でわざとアウトになった。試合はそのまま7回裏で●●高校が12—1のコールド勝ち。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
当然ニュース内では「正々堂々という高校野球の理念に反する行為」として非難されていたんだけど、どうかな。
私はこの行為が悪い事だとは少しも思わない。「正々堂々」を教えるのも、「弱肉強食」を教えるのも、どちらも教育。残念なのはこの行為を監督が指示してしまったという事。選手には監督の指示に従う他に選択肢が無い。もし選手が自主的に考えてコールド勝ちを狙ったのであれば、何ら非難されるべき点は見当たらない。「勝てばいい」、「負けても正しく」、どちらを選択するかは個人の自由である。彼ら高校生は近い将来、社会の中で必ずこの「選択」の場面に出会うことになるのだから。