あおいゆう(蒼井優)

蒼井優は評価が難しい女優だと思う。逆に言えば、簡単に評価出来ない「凄さ」みたいなものを感じる。心の奥底に、何かどろどろした情念のようなものを持っていそうな気もするし、いや、実はこの子はアッケラカンと何も考えてないんじゃないかと思わせる時もある。特別演技が上手だとは思わないが、見る者の視線を引き留めておく「何か」を持っている。

彼女の演技には、いつも不純物が混じっているように見える。それは、少女を演じている彼女から漂う「おんな」の匂いだったり、その逆だったり。にっこり笑っている目の奥に悲しみや怒りが見えたり、その逆だったり。それが全て「演技」なのか、隠せない彼女の本性なのかは分からない。分からないところが、そのもどかしさがまた彼女の魅力であり、凄さなのである。世のオジサン達はもうメロメロである(笑)。

彼女自身が以前、「周りの女優さんをみると、みんなすごくそれぞれに個性が強くて...私には個性が無いなぁって思って...でもそれが私の持ち味なのかなって思い始めて...」と答えていたのを思い出す。確かに「どんな人?」と考えて、すぐに答えが出せるような個性を彼女は持っていない。だがフィルムの中で動く彼女は、違う。「ゆらぎ」のような柔らかい空気を作り出すかと思えば、強く射貫くような視線を投げ、屈託の無い笑顔で空を見ていたかと思えば、全てを知り尽くしているかのような不敵な表情も見せる。

映画監督から見れば、これほど魅力的な「素材」は他に無いのではないか。そして映画を観る私たちも、この「不思議な女の子」が次に何を見せてくれるのかをつい期待してしまう。圧倒的な存在感を持っているわけでは無いのに、彼女はいつも「気になる」人なのである。