自転車から見る風景003(北風)

ポタリング族のみなさんは、冬場をどう過ごされているのでしょうか?まぁ一口に「冬」と言っても、雪に閉ざされている北国や、半袖で過ごせる日もある南国の冬とじゃ全然違うんだけど、関東の冬はとにかく「北風」が難敵なんですね。

ちょっと走ってみました。サイクリングロードを。風を遮るものが全く無い荒川沿いのサイクリングロードは、星一徹のような厳しさでした。
川口市→北区→荒川区と下流(南)に向かっていく時は、当たり前の話しですが「追い風」。その追い風に押されてホイホイと距離を伸ばしたのがいけなかったんです。ちょっと考えれば分かったはずなんです。折り畳み自転車なのに、軽く30km/hを超えるスピードで「シャーッ」と走って、そんなスピードなのに全く風を感じない、むしろ追い風を感じているという状況を、もっと深刻に受け止めるべきだったんです(笑)。

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千住の橋まで来てから「ちょっと走り過ぎたかな」「帰り、向かい風だよな」とUターンした時にはもう手遅れ。とにかく進まない。前に進まない。一番軽いギアにしても、ペダルを回転させるのがやっとの有り様。しかも風は乱暴に向きを変えてぶつかってくるから、右へ左へとハンドルを取られ、時速5km/hの蛇行運転。真っ平らな道を、急坂を喘ぎながら登って行くような感じ。それはもう「大リーグボール養成ギブス」状態。と、父ちゃんっ...。

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また一つ「ポッターズ・ハイ」を見つけましたよ、ええ。襲いかかる突風の中で、私は「笑い」がこみ上げてくるのを感じました。「これは...もう...人間の...力では...どうする...こと...も...うぐ...ぐふ...あは...あはは...あはははははは」

自転車から見る風景002(ポッターズ・ハイ)

荒川サイクリングロードを走る。ゆっくりゆっくり、風に吹かれてペダルを回す。12月のサイクリングロードは枯れかけたススキでいっぱいだ。どこまでもどこまでも同じような風景が続く。サングラス越しに見る川面は黒く、ススキは白く、快晴の青空にグレーの道。他に色は無い。この先どこまでこの道は続いているのだろう、風が冷たいな、だいぶ遠くまで来たな、そろそろ水分補給かな、工場の煙突から煙りが出てる、写真撮ろうかな、取り換えたばかりのサドル、いい感じだな...。

そんな時である。
ふっと、自分が今ここにいる事が不思議に思える瞬間が来る。自分は今どうしてここにいるのだろう?どうやってここまで来たのだろう?ここは何処だろう?夢の中にいるような、自分の存在がとても不確かで、それでいて心地よい空間。風の音しか聞こえない。横では妻が写真を撮っている。遠くには野球をしている子供たちも見える。それは確かな事なのだけれど、自分の存在が量れない。薄い膜一枚で隔離されているような、違う時間の中に放り込まれているような、不思議な磁場の中にいる自分を感じることがある。

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で、何だ、と(笑)。

自転車という乗り物だからこそ、なのではないのかなと、思うわけです。それもポタリングだからこそ。ランナーズ・ハイならぬ、ポッターズ・ハイ。例えば同じ道を歩いたとする。でもきっとこの感覚は味わえない。歩くスピードでは、風景がずっと自分に付いてきてしまうから。どれだけ歩いても、常に自分が今いる風景を見続けるわけだから。バイクやクルマだと、今度は風景を振り切ってしまうし、移動することに集中しなければいけなくなってしまう。自転車に乗って、ゆっくりと、しかし歩くのとは違うやや非日常的なスピードで移動して風景を眺めることの連続が、この快楽を産み出すのだと思う。

ああ、書けば書くほど伝えたいことから離れていく(笑)。
みなさんも自転車に乗って、無目的にゆっくりダラダラと走って、適度に疲れた頃に立ち止まって風景を見て下さい。きっと「ポッターズ・ハイ」が味わえるから。

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自転車から見る風景001(PEUGEOT Pacific)

「人類の発明史上、最も有益かつ効率的なエネルギー変換が行われる乗り物、それは自転車」と、ドイツ人は言ったそうな。確かにヨーロッパの自転車人口はすごい数だよね。子どもを車輪付のカプセル(みたいなもの)に乗せて、自転車で引っ張って散歩する夫婦とか、良く見る光景らしい。ツール・ド・フランスを始めとしたレースに対する熱狂度も半端じゃないし、国も積極的に自転車専用道路の整備といった支援をしている。

で、何だ、と。

6年前に「折り畳み自転車が欲しい」と思ったんですね、夫婦で。ママチャリでも良かったんだけど、マンションの自転車置き場ですぐに錆びてしまうのは悲しい、折り畳みなら部屋の隅っこに置いておけばいつもピカピカ、そうだそうしよう、と。で、あれこれカタログ見たり自転車屋さんに行ったりしてみたんだけど、今一つ「コレ」というものが無い。美しくないんですよ。私たちにとって「走りやすさ」とか「性能」とか「便利さ」はどうでも良くて、求めていたのは「見た目の美しさ」だったんですね。
そんなある日、WEBの自転車屋さんのページで見つけたのが「PEUGEOT Pacific」。「ををを、プジョーって自転車も作ってるのね」「存在感のあるロゴだよなぁ」「このフロントフォーク、何かすごくね?」「良く分かんないけど、コレだろ、コレ」と、深く考えることもなく2台を即発注。数日後に山口県の自転車屋さんから白と黄色のPEUGEOTが送られてきたのでありました。

で、そこから自転車の日々が...始まらないんだな、これが。理由については詳しく書きませんけど、要するに「折り畳まれたまま数年間埃をかぶっていた」わけです。その間にプジョーは自転車販売から撤退し(笑)、私たちの自転車はプレミア化。今じゃヤフオクで高額取引されている始末。どころがここ数年、日本でもマウンテンバイクの流行に引っ張られるように、自転車ブームが到来。私たちの限られた交友関係の中でも数名が「自転車萌え」になったことに刺激され、我が家でも「乗るか、コレ」「そうだよ、乗らなきゃもったいないよ」「すぐそこにサイクリングロードがあるわけだし」「このタイヤ、どうやって空気入れるんだっけ?」と、気分が盛り上がったのでした。

・ポタリング(potter・putter(ぶらつくなどの意)から)
自転車で散歩すること。目的地を定めたり走行計画を立てたりすることなく,気分や体調に合わせて気の向くままに走ることをいう。
・サイクリング(Cycling)
自転車によって陸上を移動するレクリエーションであり、スポーツである。

ふむふむ、私たちの走りはまさしく前者、ポタリングですな。一応「あの橋まで行ってみよう」的な目的地設定はするけど(笑)、走行計画なんて(ぷ)。
でもね、走ってみるとコレが楽しいのよ、ホント。上り坂でヒィヒィ言って、下り坂でバビューン。アッと言う間に小学生・中学生の頃にタイムスリップ。歩きながら見る風景とは違う、クルマから見る風景とももちろん違う、自転車に乗ってみる風景。懐かしくて新鮮なその風景に、自分の存在を忘れてしまう瞬間。ランナーズ・ハイのようにエンドルフィンは分泌されないけど、すっと異次元にトリップしてしまうような快楽が、自転車にはあるんですよね。

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