きたじまこうすけ(北島康介)
世界のカエラーを代表する「蛙王」。強い人。「東京下町」の英雄。
もう説明の必要はありませんね。2008年北京オリンピック男子100m平泳ぎの金メダリスト、そして世界記録保持者。まだ200mが残ってるけど、感動が薄れないうちに書いてしまおう。
「チョー気持ちいぇ」「なんも言えねぇ…」...彼の魅力は、その正直さ、分かりやすさだと思う。前回の金メダルの後、彼はずっと苦しんでいたよね。「燃え尽き症候群」なんて、勝手に周りでささやく人も居たけれど、彼の苦しみは彼にしか分からない。世界の頂点に立つなんて、想像は出来ても体験出来ない事だから。不貞腐れているような様子を見せた事もあったし、皮肉交じりの言葉で自分を詰る事もあった。彼はそれをそのまま隠さなかった。隠せなかった。彼にクールな、優等生的なものを求めている人には不快だったかも知れないけど、私にはその人間臭さがとても魅力的に見えた。東京下町の悪ガキが「面白くねぇ」と吐き捨てているようで、ある意味痛快だった。
そんな苦悩の中、ある日、ある時、彼の目が変わった。「糞この野郎」という目になった。その変化も実に分かりやすく、はっきりと伝わってきた。彼を変えたのは、彼を追い越していくライバルの姿だったかも知れないし、コーチの励ましや、水泳教室で子どもに言われたささいな一言だったのかも知れない。それも彼にしか分からない。ただ彼は「もう一度やってやる」という意思を、体中から迸らせた。鳥肌が立つような感動を与えてくれるドラマの始まり...。
彼はこれから何をするのだろう。競技者として勝負を続けるのだろうか。それとも違う世界に進むのだろうか。彼を求める人は多いはずだ。CM出演、TV解説者、指導者...多くのアスリートが歩んだ道を、彼もまた進むのだろうか。どんな道であれ、彼にとって素晴らしいものでありますようにと祈らずにはいられないけれど...私の個人的な願望を最後に。
北島、肉屋のおやじになってくれ。
ダメかな。西日暮里「肉のきたじま」で、北島康介がステテコ姿で「メンチカツサンド」を売る。妙に似合うような気がするんだけど。子供たちとの水泳教室を続けながら、「うまいッスよ、チョーうまいッスよ」とメンチカツを売る北島。何年か経って、彼を知る海外の元ライバル達が「キタジマは今何をしてる?」と質問する。そしてそれに「彼は肉屋でメンチカツを売っている」と、胸を張って答えたい。「おわっ?(What?)」と彼らはもう一度問い直すだろう。そしてこちらももう一度「肉屋だよ、肉のキ・タ・ジ・マ」と答えたい。彼らは「わい?(Why?)」としばし沈黙した後、きっと笑顔になると思う。
- by Shirokuman
- 08/13/2008
- ・新明解シロクマ辞典・
